自分の力で

昨日、友人の中学時代の同級生が自殺しました。今日、告別式だそうです。

「そんな事するような人じゃなかったのに・・・」と友人は言っていました。亡くなられた方と私は面識がないのですが、私にも、自ら命を絶ってしまった友達が2人います。突発的な衝動のようでした。普段はそんな事するような人でなくても、衝動に突き動かされると、周囲の人が想像できないような行動を、人はしてしまうものなのでしょうか。

皆さんは自殺しようと思った事がありますか?私はあります。何度もあります。実際に自分を傷つけるような行為にまでは至りませんでしたが、「死ねば楽になれる」と思って、楽になりたいが為に自殺を考えることがありました。そして「死んでも今と一緒なんだ」というのが分かった時に、自殺を考える事はなくなりました。

それを教えてくれたのは、自殺した友達の1人、Hちゃんです。この話はちょっとヒーリングという観点からは反れる部分もあり、ここで書いていいのかどうか躊躇したのですが、Hちゃんが書いて欲しそうなので書いてみます。

まず、Hちゃんと私の関係からお話します。今から7年前に、友達に誘われて、Hちゃんが私のライブを見にきてくれたのが出会いです。そして、私のギターや曲に惚れてしまった女の子です。なんて自分で言うのも何ですが、出会ってすぐにHちゃんは、私が住むアパートの部屋の、隣の隣の部屋に引っ越してきてしまったくらいですから、私は相当惚れこまれていたのだと思います。

Hちゃんは歌をつくって歌う人でした。独特の感性を持っていて、それがきちんとした形で表現できれば、とても素晴らしい演奏ができたのではないかと思います。けれど年が若かったせいか、自分の中から湧いてくるエネルギーを上手くコントロールできなかったようで、そのため周囲の人から理解されにくいというか、誤解を受けるような行動をとってしまうことが多かったのです。今から振り返ってみると、私の10代の頃にそっくりだなぁとも思います。

彼女から頼まれて、私は彼女のバックでギターを弾き始めたのですが、これは辛いものでした。彼女の歌や言動から感じるものは「誰か私を何とかしてくれ〜」なのです。よほど自分の内から沸いてくるエネルギーを、持て余していたのでしょう。これを明確な形にして、人に伝えられるような表現に変えていければ、方向性が出来て、溢れんばかりのエネルギーを上手く循環させていけたと思います。

Hちゃんが自分自身を持て余しているのも、それで苦しんでいるのも、私は知っていました。「ななちゃん(私)、私を何とかして〜」と要求されているのも知っていました。けれど、それをやるのは他の誰でもない、Hちゃん自身なのです。Hちゃんの心の中から湧いてくるものを、私が操作することはできません。私は何もしてあげられないんだけどなぁと思いつつ、そのことについて2人で話したりもしました。

彼女は、自分から「ギターを弾いて」とお願いしてきたのに、その練習に平気で1時間も遅れてきたりしていました。理由は、家でグズグズしていたから、です。または、練習に行きたくなくなって逆方向の電車に乗ってしまったから、です。

歌を歌う事は、彼女が最もやりたい事ではなかったのでしょうか。何故、その練習に行きたくなくなってしまうのでしょうか。一番好きな事をやるのに、何故それから逃げてしまうのでしょう。

私が彼女にしてあげられることといえば、そういったお話をすることでした。自分の中の矛盾とか、自分の心を、ちゃんと見つめて、空回りして持て余しているエネルギーに方向性をつけていけるようお話しました。けどやっぱり自分の心を見るのが怖かったみたいで、彼女はそれから逃げ続けていました。

何度かお話しを重ねましたが、毎回毎回練習に遅れてきたり、持て余しているエネルギーをぶつけてきたり、こんな調子じゃ一緒に音楽は出来ないと私は判断し、彼女のバックでギターを弾くことを止め、その後はアパートも引っ越して、彼女とは付き合いが全くなくなりました。

それから何年後だったかなぁ。2、3年後だったと思いますが、Hちゃんを私のライブに誘ってくれた方から電話がありました。「Hちゃんが自殺した・・・」って。

それを聞いて「遂にやったか」と思いました。逃げ続けてしまうHちゃんだったら、いずれやりかねないだろうと、心のどこかで私は思っていたみたいです。

連絡をくれた方は、泣きながらこうも言っていました。「人は自殺すると、自殺するまえ以上に苦しみ続けるというけれど、私はそんなの信じない。あの安らかな死に顔を見たら、Hちゃん、やっと楽になったんだね。良かったねって思っちゃう。Hちゃんは楽になれたんだって、そう信じたい」って。

冷たいようですけど私は、それはないだろうなぁと思いながら、話を聞いていました。

Hちゃんが自殺してしまった事は、悲しいし痛まれないことですけれど、私はとてもクールにそれを受け止めていました。本当に冷たいようですけど、涙は一滴も出ませんでした。

ギターを弾いてあげていた時に、もっと優しくしてあげれば良かったのか?とか、同じアパートに住んでいた時に、もっと仲良く遊んであげれば良かったのか?と、チラッと思いましたが、それをしていたところで、Hちゃん自身が自分の力で自分を何とかしようと思わない限り、周囲の人は何もしてあげられないのです。

逆を言えば、何もしない・・・、これは究極の優しさではないかと私は思っています。何もかもしてあげてしまっていたら、人の心や魂は育ちません。色んな方の生き様を見て、そこから何かを感じ学ばせていただく事で、人は成長していけるのだと思います。

さて、自殺してしまったHちゃんは、その後どうなったのでしょうか?

去年あたりから、私は彼女を感じます。私は霊能者ではないので、亡くなった方を見たり聞いたりする事はできませんが、ヒーリングをしている時と同じような感覚で、何となくですが、感じる事はできるみたいです。

私がHちゃんの存在とともに、何を感じたのか教えてあげましょう。「ななちゃん、私を何とかして〜」です。Hちゃんは、生前と同じ事を言っています。

なので私も生前と同じように「頼ってくれるのは嬉しいけれど、私は何もしてあげられないよ。本当に何とかしたいと思ったら、自分の力で何とかできる筈だから、そこから逃げないで、自分と向き合って、自分の力で抜け出してごらん」って言い続けました。

このようなやり取りが続いて、死後の世界とは生きる場所が変わるだけで、今と何も変わらないんじゃないかと思うようになってきました。

私は今、東京の新宿区というところに住んでいます。死後の世界とは、例えばですが、お隣の渋谷区に引っ越した、という感覚に近いんじゃないかなぁと思っています。

引っ越して住む場所が変わると、気分がリフレッシュしたり環境が変わったりしてプラスに働く事もあるかと思いますが、基本的には自分が変わらない限り、どこで暮らしても同じような生活をすると思います。

死後の世界がどんなものか想像がつかないから、死んだら楽になるんじゃないかと、幻想を抱けるだけなのではないでしょうか。そこが隣町だったらどうでしょう。隣町に引越しただけで、生きているのが辛くなるような苦しみから解放されるのでしょうか?

私はNOだと思います。どこで暮らしていても、自分がその苦しみを本気で何とかしようと思わない限り、その苦しみから逃れられることはないと思います。苦しみの原因を解決するまで、苦しみは自分につきまとうでしょう。

死後の世界の考え方は人それぞれだと思いますが、この文章をお読みいただいている方の中に、もし自殺を考えられている方がいらっしゃいましたら、本当に死んでしまう前に、どうか自分の心の中を見つめて頂きたいと願います。

世の中には見たくないものがたくさんあります。私も、自分のお財布の中身とか、脂肪のついたお腹とか、あんまり見たくありません。苦しみや自分の心の中なんて、なおさら見たくありませんけれど、それと真剣に向き合って原因を探っていくと、だいたいの場合が、自分で自分を苦しめていたことに気付かれると思います。

自分を苦しめている自分を見つけましたら、それを心の中で殺してみて下さい。言い方は乱暴ですが、私もたくさんの自分を殺してきました。

このエッセイの中だけでも、「vol.1 足首の捻挫が治りきらず腰痛を抱え続けた自分」が、「vol.2 父を嫌いで憎んですらいる自分」が、「vol.3 レイキで機械が直せるわけがないと思っていた自分」が、「vol.4 なーんか関係が上手くいってないけどMさんと付き合わなくてはいけないと思い込んでいた自分」が、「vol.5 自分を愛せない自分」が、「vol.6 遠隔ヒーリングなんて本当にできるのかなぁ?と思っていた自分」が、そして今回は「自殺したら楽になれると思っていた自分」が死んでいます。

死ぬという表現はちょっと乱暴すぎるので、手放したと言った方がいいかな。何はともあれ自分の中から、そんな自分がいなくなっています。これも或る意味、自殺でしょうか?けれどいなくなった分だけ、身も心も軽くなり、苦しいと感じていたことから解放されています。

真剣に向き合えば、自分の力で解決していくことが出来るのです。というか、自分の力でしか解決することは出来ないのではないでしょうか。これはヒーリングをやらせて頂いても、同じように感じています。私はお客様の背中を押してあげたり、励ましたり、サポートをしてあげたりすることは出来ますが、問題を解決したり取り除いてあげることは出来ません。問題を解決されるのは、いつも、お客様ご自身の力なのです。

なのでぜひぜひ、何か苦しいこととか問題がありましたら、それから逃げずに、解決の糸口を探っていってみて下さい。どうか恐れずに、それと向き合ってみて下さい。もしも誰かの助けが必要だと感じたら、アホな私のことでも思い出してみてください。お願いですから、自殺するのは心の中だけにして下さい。生きているのが苦しいと感じるのなら、死んでも、きっと苦しいのです・・・。

自殺された方々のことを想うと、痛まれない気持ちで一杯になってしまいます。私は今、Hちゃんを感じています。彼女からは「ありがとう、ななちゃん」って気持ちが伝わってきて、私は涙が溢れて止まりません。彼女が亡くなった時は涙なんて出なかったのに、隣町の死後の世界で、彼女は自分の力で、苦しみから少しでも抜け出すことができたのでしょうか。

今回のこの文章は、私が書いたのではなく、彼女に書かされてしまったような気がしてなりません。私からも、Hちゃんにお礼を言いたいと思います。ありがとう、Hちゃん。生きているうちに、こんな話をしたかったね・・・。と思ったら、スーッと気配が消えてしまいました。私も何だか、妙にスッキリとしてしまいました。

これは、彼女も私も、次のステップに進めたということなのでしょうか。亡くなられた方々が自分の力で安らかに眠れるようにとお祈りしつつ、この世に生きておられる方々も、自分の力で苦しみのない安らいだ生活が送れるように、ヒーリング頑張ろ〜!と決意を新たにした私でした。

2002/12/20